2015年10月2日金曜日

ここ最近、点滴が入らないことが増えてきて、ふさこさんと息子さん
と話し合って、点滴をやめることにしたそうです。
もう、キミコさんの身体が、それを受け入れられなくなっていたから。

この一年、個人的に人生が大きく変わる出来事があって、キミコさん
に、ふさこさんに、会いに行く口実として、写真や出来事の話を持って
いける事に、あとから自分はそうしたかったんだなと、ふと今日思いました。

ふさこさんとは、ずっとキミコさんの今について話してきていて、「最後まで
おかあさんを家で」と、腹をくくったつもりが、こんなにも揺れるのかと、
メリーさんが最後を迎えた土間で、二人で座って話していました。
今日も帰り際に呼び止めてくれて、静かに今の事を話しだしてくれました。

「どうにかしてあげたい」
その思いで始めた点滴が、今のキミコさんの身体が受け入れられない。
腕は腫れて、内出血の跡が幾つも残った腕をさすりながら、ふさこさんは
「早くからやめておけばよかったね」
でも、その時のキミコさんにとって、口から食べれなくなった以上、点滴が
唯一の命を繋ぐもの。
その時は、どうにかしてあげたかった。

「どうしてあげることもできない」
点滴がのいた今、キミコさんは自然に自らの力で生きていて、わたしらは
どうしてあげることもできない とふさこさんは話しました。

家族とはいえ、自分の命ではない人の命。今までのおかあさんへの想いもある。
覚悟を決めていくには、計り知れない葛藤があると、ふさこさんは話します。

あとからいつも、そんなことない、着替えだって、身体の向きをかえるのだって、
顔や身体を拭くのだって、硬くなった指の間にガーゼを挟むのだって、医師からは
止められているけど、口を湿らす時に季節のものをと桃や葡萄の果汁を口に運ば
れたり、たり、たり、たり、、、、、、、、、、。

僕は、ふさこさんの話しを、ただ黙って聴くことしかいつも出来ません。

ただ、点滴をのける決断をして、医師から2~3日と言われ、それでもなお
揺れているふさこさんの中に、なにかひとつ、凛としたものを感じた今日でした。